【お腹が張る!SIBOとは】第6回 食あたり後に続くお腹の不調

06 食あたり後に続くお腹の不調

第6回 食あたり後に続くお腹の不調

以前は、そこまでお腹が弱い方ではなかった。
ところが、ある時期に食あたりや胃腸炎をしてから、ずっとお腹の調子が戻らない。

食後にお腹が張る。
ガスがたまりやすい。
下痢をしやすくなった。
反対に、便秘が強くなった。
外食が不安になった。
腸活をしても、なぜかよくならない。

このような方がいます。

お腹の不調というと、今食べているものや、現在の腸内環境だけが原因のように思われがちです。
けれど、SIBOや過敏性腸症候群のような慢性的な胃腸の不調では、「いつから始まったのか」をたどることがとても大切です。

特に大切なのが、胃腸炎や食あたりのあとから始まった不調です。

感染性胃腸炎のあと、下痢や腹痛そのものは治ったのに、その後もお腹の張り、便通の乱れ、腹部の不快感が続くことがあります。
このような状態は、医学的には「感染後の過敏性腸症候群」として研究されています。

SIBOは、日本語では「小腸内細菌増殖症」と呼ばれます。
本来、細菌が多すぎないはずの小腸で細菌が増え、食べ物が発酵しやすくなることで、お腹の張り、ガス、腹痛、下痢、便秘などが起こることがあります。

食あたり後の不調が、すべてSIBOというわけではありません。
ただ、胃腸炎のあとに腸の動きや神経の働きが乱れ、小腸の内容物が停滞しやすくなると、SIBOのような張りやガスにつながる可能性があります。

神戸市北区や三田市周辺でも、「あの時の胃腸炎からお腹が変わった気がする」「検査では大きな異常がないのに、ずっと張る」という方は少なくありません。

もみの木治療院では、鍼灸整骨院として体の緊張や自律神経の状態を見ながら、機能性医学的な視点で、胃腸の不調を現在の食事だけでなく、過去のきっかけからも整理していきます。


食あたりは治ったのに、なぜ不調が残るのか

食あたりや感染性胃腸炎では、細菌やウイルスなどによって腸に炎症が起こります。
多くの場合、数日から1週間ほどで下痢や吐き気、腹痛は落ち着いていきます。

けれど、一部の方では、感染そのものが治まったあとも、腸の働きが元に戻りきらないことがあります。

その背景として考えられているのが、腸の神経の過敏性、腸の動きの乱れ、軽い炎症の持続、腸内細菌の変化、腸と脳の連絡の乱れなどです。

つまり、食あたりの菌やウイルスがずっと残っているというより、感染をきっかけに腸の反応性が変わってしまうことがある、ということです。

たとえば、以前なら何ともなかった食事でお腹が張る。
少しのガスでも苦しく感じる。
便意が急に来る。
外出先でお腹が不安になる。
食事のたびに緊張する。

このような状態では、腸そのものだけでなく、自律神経や脳の不安反応も関わっていることがあります。

大切なのは、「気のせい」ではないということです。
検査で大きな異常が見つからなくても、腸の動きや感覚の調整が乱れている可能性があります。


感染後に腸の動きが乱れることがあります

SIBOを考えるうえで大切なのが、小腸の動きです。

小腸には、食事と食事の間に中を掃除するような動きがあります。
この働きによって、食べ物の残りや細菌が小腸にとどまりすぎないようにしています。

ところが、感染性胃腸炎のあとに腸の神経が影響を受けると、この掃除のような動きが乱れることがあります。
すると、小腸の中に内容物が停滞しやすくなります。

停滞が起こると、細菌が増えやすくなり、発酵やガスが起こりやすくなります。
その結果、食後のお腹の張り、ガス、腹部の圧迫感、便通の乱れにつながることがあります。

ここで大切なのは、食べ物だけを悪者にしないことです。

もちろん、発酵しやすい食材で症状が強くなることはあります。
しかし、その背景には、小腸の流れが悪くなっていることがあります。

同じものを食べても、以前は大丈夫だったのに、胃腸炎後から張るようになった。
このような場合は、「その食材が悪い」というより、「今の小腸が発酵しやすい状態になっている」と考える方が自然です。


感染後の不調は、過敏性腸症候群とも関係します

食あたりや胃腸炎のあとに続く慢性的なお腹の不調は、過敏性腸症候群として扱われることがあります。

過敏性腸症候群では、腹痛、腹部不快感、便秘、下痢、ガス、張りなどが起こります。
検査で大きな異常が見つからないことも多く、「ストレスですね」と言われて終わってしまうこともあります。

もちろん、ストレスは胃腸に影響します。
けれど、感染後に始まった場合は、単なる気分の問題ではありません。

感染によって腸の粘膜や免疫、神経、腸内細菌のバランスが影響を受け、その後も腸が過敏になったり、動きが乱れたりすることがあります。

また、過敏性腸症候群の方の中には、SIBOが関係している可能性が指摘されることがあります。
ただし、過敏性腸症候群の方が全員SIBOというわけではありません。
また、呼気検査にも限界があるため、検査結果だけで単純に判断することもできません。

大切なのは、症状名を決めることよりも、どのルートで不調が続いているのかを整理することです。

・感染後から腸の動きが落ちたのか
・腸が過敏になっているのか
・食材への反応が強くなっているのか
・便秘による停滞があるのか
・下痢による吸収不良があるのか
・不安や緊張で胃腸がさらに乱れているのか

こうした視点を持つことで、対策も変わってきます。


抗生物質のあとにお腹が変わることもあります

食あたりや胃腸炎のとき、場合によっては抗生物質が使われることがあります。
また、胃腸炎とは別に、風邪、副鼻腔炎、膀胱炎、歯科治療、皮膚の炎症などで抗生物質を使ったあとに、お腹の調子が変わる方もいます。

抗生物質は、必要な場面ではとても大切な薬です。
感染症の治療に必要な場合もあります。

ただし、抗生物質は目的の菌だけに働くわけではなく、腸内細菌のバランスにも影響することがあります。
その結果、一時的に下痢をしたり、便通が乱れたり、腸内環境が変化したりすることがあります。

ここでも大切なのは、抗生物質を悪者にしないことです。
必要な薬を避けることは危険です。

一方で、抗生物質を使ったあとからお腹の張り、ガス、下痢、便秘が続いている場合は、その経過をきちんと整理することが大切です。

・いつ抗生物質を使ったのか
・何日間使ったのか
・その後、便通がどう変わったのか
・発酵食品や整腸剤で良くなったのか、悪化したのか
・下痢が長く続いていないか
・腹痛や発熱、血便はないか

特に、抗生物質のあとに強い下痢が続く場合は、自己判断せず医療機関で相談してください。


腸が過敏になると、少しのガスでも苦しく感じます

SIBOでは、小腸内で発酵が起こり、ガスが増えることがあります。
ただし、お腹の苦しさは、ガスの量だけで決まるわけではありません。

腸が過敏になっていると、少しのガスでも強く張ったように感じることがあります。
同じ量のガスでも、腸の感覚が敏感になっている人ほど、苦しさを強く感じやすくなります。

感染後の不調では、この「腸の過敏性」が重要です。

食あたり後、腸は一度強い炎症や刺激を受けています。
その後、腸の感覚が敏感になり、少しの食事、少しの発酵、少しの腸の伸びでも、不快感として感じやすくなることがあります。

このような方は、食材を減らすだけでは改善しきれないことがあります。
なぜなら、問題は発酵しやすい食材だけではなく、腸が過敏に反応していることにもあるからです。

食事制限をすれば、一時的に症状は軽くなるかもしれません。
でも、腸の過敏性や不安反応が残っていると、また別の食材で不調が出たり、食べること自体が怖くなったりします。

SIBOや感染後の胃腸不調では、食事と同時に、自律神経や安心して食べられる状態を整えることが大切です。


食事制限だけに偏ると、回復が遅れることがあります

食あたり後からお腹が弱くなると、食べることが怖くなる方がいます。

小麦をやめる。
乳製品をやめる。
豆類をやめる。
果物をやめる。
発酵食品をやめる。
食物繊維を減らす。
脂質を避ける。

症状が強い時期には、一時的に食材を調整することはあります。
特に、SIBOが疑われる場合は、発酵しやすい糖質を控えることで張りが軽くなる方もいます。

しかし、制限が長く続きすぎると、栄養不足や食事への不安につながります。
体を修復するためのたんぱく質、鉄、亜鉛、ビタミン、脂質、エネルギーが足りなくなると、胃腸の回復力そのものが落ちてしまうことがあります。

食べると張る。
だから食べない。
食べないから体力が落ちる。
体力が落ちるから胃腸も動きにくい。
また張る。

このような悪循環に入ってしまう方もいます。

大切なのは、「何を避けるか」だけではありません。
今の胃腸が受け入れやすい形で、必要な栄養をどう入れるかです。

やわらかく調理する。
一度にたくさん食べすぎない。
よく噛む。
脂質を一気に増やさない。
たんぱく質を少量から試す。
症状が落ち着いたら、少しずつ食材を戻して反応を見る。

SIBOや感染後の胃腸不調では、制限と回復のバランスが大切です。


食あたり後に見直したい生活のポイント

感染後の胃腸不調では、腸の動き、過敏性、腸内環境、自律神経が関係します。
そのため、食事だけでなく生活全体を整えることが大切です。

まず見直したいのは、胃腸が安心して働ける状態です。

・食事を急がない
・よく噛む
・食事中はスマホや仕事から少し離れる
・食後すぐに強い緊張状態に戻らない
・夜遅い食事を減らす
・だらだら食べを見直す
・睡眠不足を放置しない
・便秘を放置しない
・軽い散歩などで腸の動きを助ける
・お腹を冷やしすぎない
・食べることへの不安を強めすぎない

特に大切なのは、食後の過ごし方です。

食べた直後にすぐ仕事へ戻る。
食後すぐに強いストレスがかかる。
食べながら心配ごとを考えている。
このような状態では、胃腸は落ち着いて働きにくくなります。

腸は、緊張したままでは動きにくい臓器です。
食あたり後に腸が敏感になっている方ほど、安心して食べる環境を作ることが大切です。


鍼灸整骨院で見る、感染後のお腹の不調

もみの木治療院は、神戸市北区で慢性的な不調をみている鍼灸整骨院です。
SIBOの診断や薬の処方を行う場所ではありませんが、胃腸が働きやすい体の状態を整えるサポートをしています。

感染後からお腹の不調が続く方では、腸だけでなく、体全体が緊張しやすくなっていることがあります。
背中やみぞおちが硬い。
呼吸が浅い。
首や肩の力が抜けない。
睡眠が浅い。
食事のたびに不安になる。

このような状態では、自律神経が高ぶり、胃腸がさらに過敏になりやすくなります。

鍼灸や体の調整では、筋肉や関節だけではなく、自律神経、呼吸、睡眠、体のこわばりにも目を向けます。
胃腸そのものを直接治すというより、胃腸が働きやすい土台を整えることを目指します。

また、米国 Kharrazian Institute で上級機能性医学認定を受けた院長が、感染後の経過、胃酸、胆汁、膵液、腸の動き、食事、栄養、ストレス、睡眠などを含めて、不調の背景を整理していきます。

神戸市北区・三田市周辺で、食あたり後から続くお腹の張り、ガス、便秘、下痢、胃もたれ、腸活で悪化する不調にお悩みの方は、現在の食事だけでなく、始まりのきっかけを見直してみることが大切かもしれません。


医療機関を優先した方がよいサイン

食あたり後にお腹の不調が続く場合でも、多くは機能的な胃腸の乱れとして経過を見ることがあります。
しかし、すべてをSIBOや過敏性腸症候群として考えてよいわけではありません。

次のような症状がある場合は、まず医療機関での検査をおすすめします。

・血便
・発熱が続く
・強い腹痛
・体重減少
・貧血
・夜間に目が覚める下痢
・嘔吐をくり返す
・便やガスが出ない
・脱水が疑われる
・高齢者や持病がある方の長引く下痢

これらは、炎症性腸疾患、感染の持続、腸閉塞、腫瘍、膵胆道系の問題など、別の病気を確認する必要があるサインです。

SIBOや機能性の不調を考える前に、危険な病気を除外することが大切です。

検査で大きな異常がないと言われたうえで、なおお腹の張りや便通の乱れが続く場合に、腸の動き、過敏性、自律神経、食事、栄養という視点が役立ちます。


まとめ 始まりのきっかけを見ることが大切です

お腹の不調が続くと、つい今食べているものだけに目が向きます。

でも、SIBOや感染後の胃腸不調では、「いつから始まったのか」がとても大切です。

食あたりのあとから変わった。
胃腸炎のあとから張りやすくなった。
抗生物質のあとから便通が変わった。
外食後の強い下痢をきっかけに、お腹が不安定になった。

このような経過がある場合、腸の神経、腸の動き、腸内細菌、自律神経が影響を受けている可能性があります。

食あたり後の不調は、気のせいではありません。
そして、単に腸活を増やせばよいというものでもありません。

腸が過敏になっているのか。
小腸の動きが落ちているのか。
発酵しやすい食材で悪化しているのか。
栄養不足が進んでいないか。
食べることへの不安が強くなっていないか。
こうした点を丁寧に見ていくことが大切です。

次回は、「腸活で悪化する人がいる理由」についてお話しします。
体に良いはずの発酵食品や食物繊維で、なぜお腹が張る人がいるのかを、SIBOの視点からやさしく解説していきます。


参考文献

Systematic Review With Meta-Analysis: Post-Infectious Functional Dyspepsia

Prevalence, Risk Factors, and Outcomes of Irritable Bowel Syndrome After Infectious Enteritis: A Systematic Review and Meta-analysis

Rome Foundation Working Team Report on Post-Infection Irritable Bowel Syndrome

ACG Clinical Guideline: Small Intestinal Bacterial Overgrowth

Small Intestinal Bacterial Overgrowth and Irritable Bowel Syndrome: A Bridge between Functional Organic Dichotomy


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