【なんでも腸が悪い屋さんに注意!】第7回 IBS・SIBO・炎症性腸疾患を見ずにリーキーガットと言っていませんか?

07 IBS・SIBO・炎症性腸疾患を見ずにリーキーガットと言っていませんか?

第7回 IBS・SIBO・炎症性腸疾患を見ずにリーキーガットと言っていませんか?

「お腹が張る」
「下痢と便秘をくり返す」
「食後に苦しくなる」
「腸活をしてもよくならない」
「小麦や乳製品で調子が悪い」
「疲れやすく、肌荒れもある」

こうした症状があると、最近はすぐに「リーキーガットかもしれません」と言われることがあります。

もちろん、腸のバリア機能が乱れること、つまり腸管透過性の変化が、さまざまな胃腸の病態と関係する可能性は研究されています。

しかし、ここで大切なのは、「腸のバリア機能が関係することがある」という話と、「あなたの症状はリーキーガットです」と断定する話は、まったく同じではないということです。

お腹の張り、ガス、腹痛、下痢、便秘、食後の不快感。

これらの症状の背景には、過敏性腸症候群、小腸内細菌増殖、炎症性腸疾患、セリアック病、胆汁酸の問題、膵臓の消化酵素、胃酸分泌、自律神経、ストレス、食物不耐、便秘、薬剤の影響など、さまざまな可能性があります。

それを見ずに、「リーキーガットですね」と言ってしまうのは、わかりやすいようで、とても危うい説明です。

本当に必要なのは、流行語を当てはめることではありません。

その人の胃腸で、何が起きている可能性があるのかを、順番に分けて考えることです。


お腹の不調を、全部リーキーガットで説明してはいけません

リーキーガットという言葉は、とても便利です。

お腹が張る。
便秘がある。
下痢がある。
肌荒れがある。
疲れやすい。
頭がぼんやりする。
関節が痛い。
食事で体調が変わる。

こうした症状をまとめて、「腸に穴が開いているからです」と説明すると、聞いている人にはわかりやすく感じられます。

でも、わかりやすい説明が、正しい説明とは限りません。

たとえば、お腹が張る人がいたとします。

その原因は、リーキーガットなのでしょうか。

それとも、小腸内で細菌が増えすぎて、発酵が強くなっているのでしょうか。
便秘で腸内にガスがたまりやすくなっているのでしょうか。
過敏性腸症候群で、腸が敏感になっているのでしょうか。
胃酸が少なく、消化のスタートがうまくいっていないのでしょうか。
胆汁や膵臓の消化酵素が十分に働いていないのでしょうか。
ストレスで自律神経が緊張し、腸の動きが乱れているのでしょうか。
炎症性腸疾患のように、医科で確認すべき病気が隠れているのでしょうか。

このように、同じ「お腹が張る」でも、背景はまったく違います。

それを全部まとめて「リーキーガット」と言ってしまうと、本当に見るべき原因を見逃してしまうことがあります。


過敏性腸症候群とリーキーガットは、同じではありません

過敏性腸症候群は、腹痛、お腹の張り、下痢、便秘、便通の変化などが続く状態です。検査では大きな異常が見つからないことも多く、患者さんにとってはとてもつらい不調です。

過敏性腸症候群では、腸の動き、腸の知覚過敏、腸内細菌、自律神経、ストレス、感染後の変化、食事、脳と腸のつながりなど、さまざまな要因が関係すると考えられています。

一部の研究では、過敏性腸症候群の人で腸管透過性の変化が見られることがあります。

しかし、それは「過敏性腸症候群イコールリーキーガット」という意味ではありません。

過敏性腸症候群の中にも、下痢が強いタイプ、便秘が強いタイプ、下痢と便秘をくり返すタイプ、腹部膨満が中心のタイプなどがあります。人によって、食事で悪化する人もいれば、ストレスや睡眠不足で悪化する人もいます。

だからこそ、過敏性腸症候群のような症状がある人に対して、「リーキーガットだからグルテンフリー」「リーキーガットだからサプリ」と決めるのは、かなり乱暴です。

腸管透過性は、病態の一部として関係する可能性があります。

でも、それだけで全体を説明することはできません。


小腸内細菌増殖を見ずに、発酵食品をすすめていませんか

小腸内細菌増殖、いわゆるSIBOは、小腸の中で細菌が増えすぎて、食べ物の発酵が強くなり、ガス、腹部膨満、腹痛、下痢、便秘、げっぷ、胃もたれなどにつながることがある状態です。

SIBO傾向がある人は、一般的に「腸に良い」とされるものが、かえって合わないことがあります。

たとえば、

・発酵食品
・乳酸菌サプリ
・食物繊維
・オリゴ糖
・豆類
・玉ねぎ
・にんにく
・小麦
・一部の果物
・甘味料

こうしたものを摂ると、お腹の張りやガスが悪化する人がいます。

ここで注意したいのは、これを「リーキーガットだから悪化している」と決めつけないことです。

実際には、腸内発酵、ガスの産生、小腸の運動、便秘、胃酸や胆汁、食事内容が関係している可能性があります。

このような人に対して、「腸を修復しましょう」と言って発酵食品や乳酸菌、プレバイオティクスを増やすと、かえってつらくなることがあります。

腸活で悪化する人がいるのは、腸に良いものが足りないからとは限りません。

その人の腸にとって、今それが合っていない可能性があるのです。


炎症性腸疾患を見逃してはいけません

ここは、特に大切です。

慢性的な下痢、腹痛、血便、体重減少、発熱、夜間の下痢、貧血、強い倦怠感などがある場合、炎症性腸疾患のように医科で確認すべき病気が隠れていることがあります。

炎症性腸疾患には、潰瘍性大腸炎やクローン病があります。

これらは、単なる腸内環境の乱れやリーキーガットという言葉だけで扱うものではありません。医師による診断と治療が必要です。

炎症性腸疾患では、腸のバリア機能、免疫、腸内細菌、炎症が深く関係します。腸管透過性の変化も研究されています。

しかし、それは「リーキーガット用サプリで整えましょう」という話ではありません。

むしろ、医科での検査と治療が必要な病態を、「腸に穴が開いているだけ」「食事で整えればよい」と説明してしまうことは危険です。

とくに、血便、体重減少、発熱、夜間症状、貧血、強い腹痛がある場合は、まず医療機関での確認が必要です。

代替医療家や栄養カウンセラーが、このようなサインを見ずに「リーキーガットですね」と言ってしまうなら、それは専門的とは言えません。


同じ“腸の不調”でも、見る順番が違います

腸の不調を考えるときに大切なのは、症状名や流行語ではなく、見る順番です。

たとえば、下痢が続いている人と、便秘が強い人では、見るべきことが違います。

下痢が続く場合は、

・感染後の変化
・炎症性腸疾患
・胆汁酸の問題
・食物不耐
・薬剤の影響
・ストレス
・過敏性腸症候群
・小腸内細菌増殖

などを考える必要があります。

一方、便秘が強い場合は、

・腸の動きの低下
・水分不足
・食物繊維の種類
・甲状腺
・運動不足
・骨盤底筋の問題
・薬剤
・自律神経
・腸内発酵
・小腸内細菌増殖

などが関係します。

腹部膨満が中心の場合は、ガス、発酵、便秘、小腸内細菌増殖、食べるスピード、胃酸、胆汁、膵臓、FODMAPなどを考えます。

このように、症状の出方によって、見るべき方向は変わります。

それをせずに、すべてを「リーキーガット」にまとめてしまうと、見立てが浅くなります。


「腸内環境が悪いから」で終わらせてもいけません

リーキーガットと同じくらい、便利に使われる言葉が「腸内環境」です。

「腸内環境が悪いですね」
「悪玉菌が多いですね」
「善玉菌を増やしましょう」
「発酵食品を摂りましょう」

こうした説明も、よく聞くと思います。

もちろん、腸内細菌は大切です。

しかし、腸内環境という言葉だけで終わらせるのも、やはり雑です。

腸内細菌が乱れているとして、なぜ乱れたのでしょうか。

胃酸が弱いのか。
胆汁の流れが悪いのか。
膵臓の消化酵素が足りないのか。
便秘が続いているのか。
食物繊維の種類が合っていないのか。
抗生物質の影響があるのか。
睡眠不足やストレスで腸の動きが乱れているのか。
血糖の乱れがあるのか。
食事時間が不規則なのか。

ここを見ずに、「腸内環境を整えましょう」と言っても、根本には届きません。

腸内細菌を整える前に、腸内細菌が乱れる環境を作っているものを見つける必要があります。


リーキーガットという言葉が、医科につなぐ判断を遅らせることがあります

一般の方に特に知っておいてほしいのは、リーキーガットという言葉が、医科につなぐ判断を遅らせることがあるという点です。

「腸に穴が開いているだけです」
「毒素が漏れているだけです」
「小麦を抜けば大丈夫です」
「サプリで修復すれば大丈夫です」

このように説明されると、必要な検査や治療を受けるタイミングが遅れることがあります。

特に注意したいのは、次のような症状です。

・血便がある
・便に黒い色が混じる
・原因不明の体重減少がある
・発熱を伴う
・夜中に下痢や腹痛で目が覚める
・貧血を指摘されている
・強い腹痛が続く
・下痢が長く続く
・家族に炎症性腸疾患や大腸がんの人がいる
・食欲低下が続く

こうした場合は、まず医療機関での確認が必要です。

これは、怖がらせたいから言っているのではありません。

本当に必要な医療につなぐことも、慢性不調を支えるうえで大切な見立てだからです。


一般の方に知ってほしいこと

もしあなたが、腸活をしてもよくならない、食事制限をしても不調が続く、リーキーガットと言われて不安になっているなら、まず知っておいてください。

あなたの不調が気のせいだと言いたいわけではありません。

腸のバリア機能が関係していないと言いたいわけでもありません。

ただし、腸の不調を「リーキーガット」という一言で片づけると、かえって遠回りになることがあります。

お腹の張りには、お腹の張りの見立てがあります。
下痢には、下痢の見立てがあります。
便秘には、便秘の見立てがあります。
食後の不快感には、食後の不快感の見立てがあります。
血便や体重減少には、医科につなぐ判断が必要です。

大切なのは、症状を軽く見ることではありません。

むしろ、丁寧に分けて見ることです。

「リーキーガットですね」と言われたときには、次のことを確認してみてください。

・過敏性腸症候群の可能性は見ていますか
・小腸内細菌増殖の可能性は見ていますか
・炎症性腸疾患など、医科で確認すべき病気は除外されていますか
・便秘や下痢のタイプを分けていますか
・食事、薬剤、睡眠、ストレス、自律神経は見ていますか
・発酵食品や乳酸菌で悪化する可能性は考えていますか
・医療機関に行くべきサインは確認していますか

これらに答えられないまま、「リーキーガットだから」と言われる場合は、注意が必要です。


もみの木治療院で大切にしていること

神戸市北区のもみの木治療院では、慢性的な胃腸不調や腸活で迷っている方に対して、「リーキーガットだから」と一言で決めつけることはしません。

鍼灸院として体の緊張や自律神経の状態を見ながら、機能性医学の視点も取り入れ、胃酸、胆汁、膵臓、小腸、大腸、腸内細菌、便通、血糖、睡眠、ストレス、栄養状態などをできるだけ丁寧に整理していきます。

米国 Kharrazian Institute でAFMC(Advanced Functional Medicine Clinician)の上級認定を受けた院長が、流行語や検査の数字だけに頼らず、慢性不調の背景を順番に見立てることを大切にしています。

神戸市北区、三田市周辺で、「腸活をしてもお腹の張りが続く」「発酵食品や乳酸菌で悪化する」「リーキーガットと言われたけれど納得できない」という方は、一度、体の状態を整理してみることが大切です。

リーキーガットという言葉を知っていることと、腸を見立てられることは違います。

必要なのは、流行語ではなく、構造で見る力です。

過敏性腸症候群なのか。
小腸内細菌増殖なのか。
炎症性腸疾患の確認が必要なのか。
便秘や胆汁、胃酸、膵臓、自律神経の問題なのか。

そこを丁寧に分けて考えることが、慢性不調と向き合うための土台だと考えています。


参考文献

Intestinal Permeability, Irritable Bowel Syndrome with Constipation, and Treatment Options

Intestinal Permeability in Disorders of Gut–Brain Interaction

Leaky Gut Syndrome: Myths and Management

The intestinal barrier: a pivotal role in health, inflammation, and disease

ACG Clinical Guideline: Small Intestinal Bacterial Overgrowth


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