【赤ちゃんを触りまくろう!】第1回 抱っこは甘やかしではありません 赤ちゃんの脳は「触れられること」から安心を学びます

第1回 抱っこは甘やかしではありません 赤ちゃんの脳は「触れられること」から安心を学びます
「泣いたら、すぐ抱っこしてもいいのでしょうか」
「抱きぐせがつくと言われて、不安になりました」
「ずっと抱っこしていないと泣くのは、私の育て方が悪いのでしょうか」
新生児の赤ちゃんを育てているお母さんから、このような声を聞くことがあります。
出産後の体は、まだ回復の途中です。夜もまとまって眠れず、授乳、オムツ替え、寝かしつけが何度も続きます。そんな中で赤ちゃんが泣き続けると、「私が何か間違っているのかな」「抱っこしすぎなのかな」と不安になるのは、とても自然なことです。
でも、まず知っておいてほしいことがあります。
新生児期の赤ちゃんにとって、抱っこは甘やかしではありません。赤ちゃんの脳と心が「安心」を学ぶための、とても大切な関わりです。
神戸市北区や三田市周辺でも、産後の肩こり、腰痛、手首の痛み、寝不足を抱えながら、赤ちゃんのお世話を頑張っているお母さんは少なくありません。この記事では、赤ちゃんの脳と心で何が起こっているのかを、機能性医学的な視点も交えながら、できるだけやさしくお伝えします。
赤ちゃんは、言葉ではなく「体」で安心を感じています
大人は、不安なときに「大丈夫だよ」と言われると、少し落ち着くことがあります。言葉の意味を理解し、状況を考え、自分に言い聞かせることができるからです。
でも、生まれたばかりの赤ちゃんには、まだそれができません。
新生児の脳は、まだ発達の途中です。お腹が空いた、寒い、暑い、眠い、苦しい、刺激が多すぎる。そうした体の変化を、自分で整理して落ち着く力はまだ十分ではありません。
だから赤ちゃんは、泣くことで知らせます。
泣くことは、わがままではありません。赤ちゃんが大人を困らせようとしているわけでもありません。
「今、自分ではうまく整えられないよ」
「誰か、そばに来て」
「体が落ち着かないよ」
そう伝えるための、赤ちゃんにとって大切なサインです。
このとき、抱っこされる、肌に触れられる、体温を感じる、声を聞く、やさしく揺らされる。こうした刺激は、赤ちゃんの神経系にとって「安全」の情報になります。
つまり抱っこは、単なる泣き止ませる方法ではありません。赤ちゃんの体と脳に、「ここは安全だよ」と伝える関わりなのです。
触れることは、赤ちゃんの発達にとって基本の刺激です
赤ちゃんの発達というと、目で見る力、音を聞く力、言葉、知育などに意識が向きやすいかもしれません。
けれど、新生児の赤ちゃんにとって、世界を感じる大きな入り口のひとつは「皮膚」や「体の感覚」です。
抱っこされたときの圧。
背中を支えられる感覚。
お母さんの胸のあたたかさ。
授乳中に頬や口に触れる感覚。
オムツ替えのときに足を持ち上げられる感覚。
寝かしつけで、ゆっくり揺れる感覚。
こうした一つひとつが、赤ちゃんにとっては「自分の体を感じる経験」でもあります。
触れる刺激は、皮膚だけで終わりません。筋肉、関節、姿勢、呼吸、自律神経ともつながっています。赤ちゃんは、抱かれたり、支えられたり、包まれたりする中で、自分の体の輪郭を少しずつ感じていきます。
これは、機能性医学的に見ても大切な視点です。体は、脳だけで動いているわけではありません。皮膚、筋肉、関節、内臓、呼吸、体温、血糖、自律神経などがつながり合いながら、全体として安定しようとしています。
赤ちゃんの場合、その調整システムがまだ育っている途中です。だからこそ、外からのやさしいサポートが必要になります。
肌と肌のふれあいが、赤ちゃんの体を落ち着かせる可能性
出産後に、赤ちゃんをお母さんの胸の上に抱く「スキン・トゥ・スキン」や「カンガルーケア」という言葉を聞いたことがある方もいると思います。
Cochraneのレビューでは、出生後早期のスキン・トゥ・スキン接触は、赤ちゃんの体温、呼吸や心拍の安定、授乳の開始や継続に良い影響を与える可能性が示されています。ただし、すべての赤ちゃんに同じ反応が出るわけではなく、医療的な管理が必要な場合もあります。
またWHOは、早産児や低出生体重児に対するカンガルーケアを重要なケアとして位置づけています。肌と肌の接触は、赤ちゃんの体温保持や母乳育児の支援にも関わる可能性があるとされています。
ここで大切なのは、「肌と肌を触れ合わせれば、すべてが解決する」という話ではないことです。
赤ちゃんにも、その日の体調があります。お腹が張っている日、眠いのに眠れない日、刺激に敏感な日、暑さ寒さが合わない日もあります。抱っこしても泣き止まないことはあります。
それでも、抱っこが無意味なのではありません。
泣き止むかどうかだけでなく、赤ちゃんの体が「安心を経験しているか」という視点で見てあげることが大切です。
「抱きぐせ」よりも大切なこと
昔は、「泣くたびに抱っこすると抱きぐせがつく」と言われることがありました。
もちろん、お母さんが何時間も無理をして抱っこし続ける必要はありません。家事もありますし、体もつらいです。産後の腰痛、肩こり、腱鞘炎、睡眠不足が重なると、心まで追い込まれてしまうことがあります。
でも、新生児期の赤ちゃんについては、「甘やかしてはいけない」と考えすぎる必要はありません。
赤ちゃんは、まだ自分で姿勢を変えることも、体温を細かく調整することも、感情を言葉で伝えることもできません。自分の体の状態を、自分だけで整える力はまだ未熟です。
その未熟な調整を、お母さんや家族の体が手伝っている。
それが抱っこです。
抱っこは、赤ちゃんに圧、温度、におい、声、揺れ、リズムを届けます。これらは、赤ちゃんにとって「安心できる環境」の一部になります。
赤ちゃんの脳は、特別な教材だけで育つのではありません。毎日の抱っこ、授乳、オムツ替え、寝かしつけの中で、何度も安心を経験しながら育っていきます。
お母さんが全部背負わなくていい
ここで、もうひとつ大事なことがあります。
「抱っこが大切」と聞くと、まじめなお母さんほど、こう感じてしまうことがあります。
・ずっと抱っこしていないといけないのかな
・泣かせてしまった私はダメなのかな
・赤ちゃんのために、もっと頑張らないといけないのかな
でも、そうではありません。
お母さんの体も、出産後です。骨盤、腰、肩、首、手首、睡眠、ホルモン、自律神経。すべてが大きく変化しています。赤ちゃんの安心も大切ですが、お母さんの体が限界を超えてしまっては、育児は続きません。
抱っこは大切です。
でも、お母さんがひとりで全部背負うものではありません。
パパや家族が抱っこしてもいい。
安全な環境で赤ちゃんを寝かせて、少し休んでもいい。
泣いている赤ちゃんを前に、まずお母さんが深呼吸してもいい。
授乳、オムツ替え、沐浴、着替え、寝かしつけの中で、できる範囲のふれあいがあれば、それも十分に大切な関わりです。
「ちゃんと触れなければ」と頑張りすぎるより、赤ちゃんの反応を見ながら、無理のない範囲で、やさしく関わること。
それが一番現実的で、続けやすい形です。
抱っこしにくい赤ちゃんにも、理由があるかもしれません
一方で、産後ケアの現場では、このような相談もあります。
・抱っこすると強く反り返る
・いつも体に力が入っている
・片方ばかり向く
・寝かせるとすぐ泣く
・授乳姿勢がうまく決まらない
・お母さんの肩や腰、手首が限界になっている
このような場合、赤ちゃんの性格だけで片づけるのではなく、身体の感覚や姿勢、筋緊張、自律神経の状態をやさしく見ていくことも大切です。
もちろん、発熱、哺乳不良、ぐったりしている、呼吸が苦しそう、顔色が悪い、泣き方がいつもと明らかに違うなどがある場合は、まず小児科や産院に相談してください。
そのうえで、病気ではないけれど「抱きにくい」「反り返りが強い」「向きぐせが気になる」「お母さんの体がつらい」という場合には、赤ちゃんの身体の使い方や、お母さんの抱っこ姿勢を見直すことで、少し楽になることがあります。
神戸市北区のもみの木鍼灸整骨院では、産後のお母さんの体のケアを大切にしています。当院では、女性施術者が対応しており、出産・育児経験もあるため、産後の体のつらさや、育児中の本音も話していただきやすい環境を心がけています。
また、片手間の産後ケアではなく、機能性医学や発達、神経系の知識も常にアップデートしながら、赤ちゃんとお母さんの体を一緒に見ていくことを大切にしています。
まとめ 抱っこは、赤ちゃんへの最初の安心教育です
新生児の赤ちゃんにとって、抱っこは甘やかしではありません。
それは、赤ちゃんの脳と心に、
「ここは安全」
「自分は守られている」
「体が落ち着いてもいい」
という感覚を伝える、最初の安心教育のようなものです。
赤ちゃんは、まだ言葉で世界を理解していません。でも、肌のぬくもり、胸の鼓動、やさしい声、包まれる感覚を通して、少しずつ世界を感じています。
特別なことをしなくても大丈夫です。
毎日の抱っこ、授乳、オムツ替え、寝かしつけ。その中に、赤ちゃんの脳と心を育てる大切な関わりは、すでにたくさんあります。
そして、お母さんもひとりで頑張りすぎなくて大丈夫です。赤ちゃんの安心と同じくらい、お母さんの体の安心も大切です。
神戸市北区、三田市周辺で、産後の肩こり、腰痛、手首の痛み、抱っこ姿勢の負担、赤ちゃんの向きぐせや反り返りが気になる方は、無理をせずご相談ください。
参考文献
Immediate or early skin-to-skin contact for mothers and their healthy newborn infants
WHO. Kangaroo mother care: a clinical practice guide
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