【アトピー性皮膚炎・脱ステ】第7回 腸を整えずに脱ステは語れない

第7回 腸を整えずに脱ステは語れない
「アトピーは腸から治す」
「腸内環境を整えれば、ステロイドはいらなくなる」
「小麦と乳製品をやめれば、皮膚はきれいになる」
アトピー性皮膚炎や脱ステについて調べていると、このような情報を目にすることがあります。
長年、皮膚科へ通い、ステロイドを塗っても再燃を繰り返してきた人にとって、「原因は皮膚ではなく腸にある」という説明は魅力的に聞こえるかもしれません。
これまで誰も見てくれなかった身体の内側を見てもらえる。
薬で炎症を抑えるのではなく、原因から変えられる。
そう期待したくなる気持ちは、よく分かります。
実際、腸と免疫、腸内細菌、皮膚の間には、互いに影響し合う仕組みがあると考えられています。
成人のアトピー性皮膚炎では、健康な人と比べて腸内細菌叢に違いがみられたとする研究もあります。
しかし、ここで慎重にならなければなりません。
腸内細菌に違いがあることと、その違いがアトピー性皮膚炎の原因だと証明されたことは同じではありません。
便秘を治せばアトピーが治る。
腸内細菌検査で悪玉菌を見つければ原因が分かる。
プロバイオティクスを飲めば脱ステできる。
小麦や乳製品を除けば炎症が消える。
現在の研究から、そこまで単純に言い切ることはできません。
それでも、便秘、下痢、腹部膨満、胃もたれ、食欲低下、極端な食事制限などが続いている人の腸を無視してよいわけでもありません。
腸を万能な原因にするのではなく、皮膚を支える身体の一部として丁寧に見る。
それが、機能性医学から考える「皮膚と腸」の向き合い方です。
皮膚と腸は、まったく無関係ではありません
腸は、食べたものを消化して栄養を吸収するだけの器官ではありません。
腸管には多くの免疫細胞が存在し、食べ物、腸内細菌、外から入ってきた微生物などに対して、反応するべきものと、過剰に反応しなくてもよいものを見分けています。
腸内細菌は、食物繊維などを利用して短鎖脂肪酸をつくり、腸管のバリアや免疫調節に関係しています。
一方、皮膚にもバリア機能と免疫機能があります。
皮膚と腸は離れた場所にありますが、免疫反応、神経系、代謝産物などを通じて影響し合う可能性があり、これが「腸―皮膚軸」と呼ばれています。
近年の研究では、アトピー性皮膚炎の人と健康な人の腸内細菌叢を比較し、菌の種類や多様性、代謝産物などに違いがあるかが調べられています。
ただし、研究結果は必ずしも一致していません。
対象者の年齢、地域、食習慣、薬の使用、アトピー性皮膚炎の重症度、便の採取方法、解析方法などが異なるためです。
また、腸内細菌の変化が先に起きてアトピー性皮膚炎を悪化させたのか、アトピー性皮膚炎による睡眠不足、食生活の変化、薬の使用などによって腸内細菌が変化したのかも、簡単には判断できません。
腸と皮膚に関連がある可能性は高い。
しかし、個人のアトピー性皮膚炎の原因を、便の検査だけで特定できる段階ではない。
この両方を理解しておく必要があります。
「腸内環境が悪い」という言葉は、あまりにも曖昧です
「あなたは腸内環境が悪いですね」
そう言われると、何か重大な問題が見つかったように感じます。
しかし、腸内環境という言葉は非常に広く、人によって意味が違います。
便秘を指しているのか。
下痢を指しているのか。
特定の腸内細菌が少ないことなのか。
小腸内細菌異常増殖、いわゆるSIBOを意味しているのか。
腸管の炎症や感染症を疑っているのか。
単に加工食品の多い食生活を指しているのか。
ここを分けなければ、具体的な対策につながりません。
便秘がある人と、毎日下痢をしている人では、必要な評価が異なります。
食後に強くお腹が張る人と、腹痛も便通異常もない人に、同じ腸内環境改善法を行うことも適切ではありません。
アトピー性皮膚炎だから腸が悪いと決めつけるのではなく、実際にどのような胃腸症状があるかを確認することが出発点です。
まず、便秘や下痢を「いつものこと」で済ませない
アトピー性皮膚炎の方に胃腸の状態を聞くと、
「便秘は昔からなので、病気だと思っていませんでした」
「お腹が張るのは体質です」
「食後に下痢をするのが普通になっています」
と話されることがあります。
何年も続いていると、それが自分の普通になってしまいます。
しかし、
・数日間便が出ない
・硬い便を強くいきんで出している
・便秘と下痢を繰り返す
・食後に強い腹痛がある
・排便後もすっきりしない
・お腹が張って食べられない
・急に便通が変わった
・血便、黒い便、体重減少がある
といった状態は、アトピー性皮膚炎とは別に評価が必要です。
とくに血便、原因不明の体重減少、発熱、夜間に目が覚めるほどの腹痛や下痢、貧血などがある場合は、機能性医学や食事療法だけで様子を見ず、消化器内科へ相談してください。
腸を整えるというのは、何でも腸内細菌のせいにすることではありません。
まず、医療的な評価が必要な病気を見逃さないことです。
便が毎日出れば、腸が健康とは限りません
毎日排便があるから、腸には問題がない。
反対に、毎日出ないから、腸内に毒素がたまっている。
どちらも単純すぎる考え方です。
排便回数には個人差があります。
大切なのは回数だけでなく、便の硬さ、量、いきみ、残便感、腹痛、膨満感などです。
毎日出ていても、硬い小さな便を何度も出している場合があります。
反対に、2日に1回でも、苦痛なく自然に排便でき、腹部症状がなければ、その人にとって大きな問題ではない場合もあります。
「一日一回出さなければ毒がたまる」と考え、下剤、ハーブティー、マグネシウム、浣腸などを過剰に使うと、下痢、腹痛、脱水、電解質異常を起こす可能性があります。
腸を整える目的は、便の回数を競うことではありません。
無理なく食べ、消化し、必要な栄養を吸収し、苦痛の少ない排便ができる状態をつくることです。
便秘だけをアトピーの原因にしない
便秘が続くと、
「腸にたまった毒が皮膚から出ている」
と説明されることがあります。
しかし、便秘によって体内の毒素が皮膚から排出され、それがアトピー性皮膚炎になるという説明には、確立した医学的根拠がありません。
アトピー性皮膚炎の赤みや浸出液は、毒出しではありません。
皮膚のバリア機能低下や免疫反応、炎症によって起こります。
一方で、便秘を放置してよいわけでもありません。
便秘による腹部膨満や不快感は、食欲や睡眠を妨げます。
強くいきむことで身体が緊張し、痔など別の問題を起こすこともあります。
食事量が少ない、食物繊維や水分が不足している、運動量が少ない、薬の影響があるなど、生活や身体の状態を見直すきっかけにもなります。
便秘を治せばアトピー性皮膚炎が治るとは言えません。
しかし、便秘によって生活と栄養状態が崩れているなら、皮膚を立て直す一環として取り組む意味があります。
下痢が続けば、皮膚をつくる材料も不足しやすくなります
慢性的な下痢がある人は、食べること自体が怖くなることがあります。
朝食を食べると仕事中にお腹が痛くなる。
脂っこいものを食べると下痢をする。
何を食べても便がゆるくなる。
その結果、食事量を減らし、食べられるものだけを繰り返すようになります。
すると、たんぱく質、鉄、亜鉛、ビタミン、必須脂肪酸など、皮膚を維持するために必要な栄養が不足する可能性があります。
ただし、下痢があるからといって、すぐに「リーキーガット」や「カンジダ」が原因だと決めつけてはいけません。
感染症、薬の副作用、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、甲状腺機能の異常、セリアック病など、さまざまな原因が考えられます。
日本ではセリアック病は欧米より少ないとされていますが、自己判断で小麦を除去する前に、必要に応じて医療機関で評価することが重要です。
小麦をやめてから検査を受けると、セリアック病の検査結果に影響する場合もあります。
「リーキーガット」という言葉だけで説明しない
機能性医学では、腸管透過性の変化が話題になることがあります。
腸の内側には、必要な栄養を取り込みながら、不要な物質が簡単に入り込まないようにするバリアがあります。
炎症や感染症、薬、食事などによって、このバリア機能が変化する可能性は研究されています。
しかし、「リーキーガット」という言葉が、検査や定義を曖昧にしたまま、あらゆる不調の原因として使われることがあります。
アトピー性皮膚炎がある。
疲れやすい。
お腹が張る。
食後に眠くなる。
そのすべてを、
「腸に穴が開いて毒素が漏れている」
と説明するのは適切ではありません。
腸管透過性は研究上の重要なテーマですが、日常診療で一つの検査によって確実に診断し、それだけでアトピー性皮膚炎の原因を特定できるものではありません。
機能性医学の役割は、恐怖を与える言葉で説明することではなく、便通、食事、胃腸症状、薬、睡眠、栄養状態を具体的に整理することです。
腸内細菌検査で、アトピーの原因が分かるとは限りません
現在、便を郵送して腸内細菌を調べる検査が増えています。
自分の腸内にどのような細菌がいるのかを知ることは、興味深い情報です。
しかし、検査結果に、
「善玉菌が少ない」
「悪玉菌が多い」
「多様性が低い」
と書かれていても、それだけでアトピー性皮膚炎の原因が分かるわけではありません。
腸内細菌は、直前の食事、便の状態、抗菌薬、サプリメント、生活環境などによって変化します。
同じ人でも、採取する時期によって結果が変わる可能性があります。
また、どの菌がどの程度あればアトピー性皮膚炎が改善するのか、治療目標となる標準値も確立していません。
検査会社によって解析方法や基準が異なる場合もあります。
検査を受けること自体が悪いわけではありません。
しかし、結果を見て大量のサプリメントを購入したり、食べ物を次々に除去したりする前に、その結果が実際の症状や治療方針にどう役立つのかを考える必要があります。
プロバイオティクスは、万能な腸の薬ではありません
乳酸菌やビフィズス菌などを含むプロバイオティクスは、アトピー性皮膚炎との関連で多く研究されています。
一部の研究では症状の改善が報告されていますが、すべての研究で同じ結果が出ているわけではありません。
プロバイオティクスは、菌株によって働きが異なります。
「乳酸菌」と書かれていても、どの菌株が、どの量含まれているかによって違います。
子どもと大人でも結果は同じとは限りません。
飲む期間、アトピー性皮膚炎の重症度、併用している治療なども研究ごとに異なります。
そのため、
「アトピーにはこの乳酸菌」
「何百億個以上なら効く」
と一律には言えません。
ヨーグルトや発酵食品も、食事の一部として楽しめる人にはよいでしょう。
しかし、乳製品で胃腸症状が出る人や、発酵食品で腹部膨満が強くなる人もいます。
健康によいとされる食品でも、無理に大量に食べる必要はありません。
免疫機能が大きく低下している人や重い病気のある人が、自己判断で高用量のプロバイオティクスを使うことにも注意が必要です。
プレバイオティクスも、増やせば増やすほどよいわけではない
食物繊維やオリゴ糖など、腸内細菌の栄養になる成分は、プレバイオティクスと呼ばれます。
野菜、果物、豆類、全粒穀物などを取り入れることは、一般的な健康や便通を支えるうえで役立ちます。
しかし、お腹が張りやすい人が食物繊維やオリゴ糖を急に大量に取ると、ガス、腹痛、下痢が強くなることがあります。
便秘だからといって、難消化性デキストリン、イヌリン、オリゴ糖などを次々に加えると、かえって苦しくなる人もいます。
大切なのは、理想量を一気に取ることではありません。
今の食事量や胃腸の状態を確認し、無理のない範囲で少しずつ増やすことです。
食物繊維には、水に溶けやすいものと、溶けにくいものがあります。
便秘のタイプや腸の状態によっては、合わない取り方もあります。
強い腹部膨満や腹痛がある場合には、「腸活が足りない」とさらに増やす前に、医療機関で原因を確認してください。
除去食で少し良くなっても、原因が確定したとは限りません
小麦をやめたら、皮膚が少し良くなった。
乳製品をやめたら、かゆみが減った。
砂糖をやめたら、赤みが落ち着いた。
このような経験をする人はいます。
ただし、食べ物を除去した期間には、ほかのことも変わっている場合があります。
加工食品や菓子パンを食べなくなった。
食事を自炊するようになった。
アルコールや夜食が減った。
睡眠時間が増えた。
外用薬を適切に使い始めた。
季節が変わった。
アトピー性皮膚炎には自然な症状の波もあります。
そのため、除去後に症状が改善したという一度の経験だけで、その食品がアトピー性皮膚炎の原因だったと断定することはできません。
本当に食物アレルギーが疑われる場合には、症状の経過、血液検査、皮膚テスト、必要に応じて医療機関で行う食物経口負荷試験などを組み合わせて判断します。
血液検査で特異的IgEが陽性だっただけで、実際に問題なく食べられている食品を除去するべきとは限りません。
極端な除去食は、脱ステを難しくすることがあります
脱ステを始めると、
小麦をやめる。
乳製品をやめる。
卵をやめる。
大豆をやめる。
肉をやめる。
油をやめる。
砂糖をやめる。
添加物をやめる。
と、食べられるものを次々に減らしていく人がいます。
すると、最後には白米と少数の野菜しか食べられないような状態になることがあります。
食事への不安が強くなり、外食や家族との食事もできなくなるかもしれません。
食事量が減れば、体重や筋肉量が落ちます。
たんぱく質、鉄、亜鉛、カルシウム、ビタミンなどが不足する可能性もあります。
皮膚は常に新しくつくり替えられています。
その材料が不足した状態で、皮膚バリアを立て直すことは困難です。
除去食に関する系統的レビューでは、アトピー性皮膚炎に対する改善効果は小さく、不確実性が高いとされています。
食物アレルギーが確認されていない人が、一律に多くの食品を除去する利益は明確ではありません。
脱ステするなら、何を抜くかだけでなく、何を食べて皮膚と身体を支えるかを考えてください。
子どもの除去食は、さらに慎重に考える
子どものアトピー性皮膚炎では、食物アレルギーが心配になり、卵、乳、小麦などを除去したくなることがあります。
しかし、成長期の子どもにとって、これらはエネルギー、たんぱく質、カルシウムなどの供給源にもなります。
医学的な根拠なく長期間除去すると、成長や栄養状態に影響する可能性があります。
また、これまで食べられていた食品を長期間完全に除去することで、再び食べたときに即時型アレルギー反応が起こる危険が高まる可能性も指摘されています。
食べた直後にじんましん、唇やまぶたの腫れ、咳、呼吸困難、繰り返す嘔吐などがある場合には、食物アレルギーを疑い、小児科やアレルギー科へ相談する必要があります。
一方、アトピー性皮膚炎があるだけで、すべての主要食品を除去するべきではありません。
子どもの食事制限は、医師や管理栄養士の支援を受けながら行ってください。
食べてすぐ起こる反応と、何日後かの悪化を分けて考える
食物アレルギーでは、食べてから比較的短時間で、
じんましん。
唇やまぶたの腫れ。
口の中の違和感。
咳や喘鳴。
嘔吐。
血圧低下。
などが起こることがあります。
これは、重症化するとアナフィラキシーにつながる可能性があります。
一方、
「パンを食べた3日後にアトピーが悪化した」
「乳製品を食べると一週間後にかゆくなる」
という訴えでは、因果関係を判断することが難しくなります。
その間に、睡眠、月経、花粉、汗、外用薬、仕事のストレスなど、多くの条件が変化するからです。
遅れて起こる症状がすべて存在しないという意味ではありません。
しかし、「遅延型フードアレルギー検査」と称するIgG検査だけで、多数の食品を除去する方法は、一般的な食物アレルギー診断として推奨されていません。
食物反応を疑う場合には、症状、摂取量、起こるまでの時間、再現性を記録し、医療機関へ相談してください。
胃酸や消化力にも目を向けますが、自己診断しない
機能性医学では、胃酸、胆汁、消化酵素などにも注目します。
食後に胃もたれする。
肉を食べると重く感じる。
すぐにお腹がいっぱいになる。
げっぷが多い。
胸やけがある。
こうした症状があれば、十分に食べられず、栄養状態に影響することがあります。
しかし、胸やけがあるから胃酸が少ない。
胃もたれがあるから消化酵素が不足している。
と自己診断することはできません。
逆流性食道炎、胃潰瘍、胃がん、胆石、膵臓の病気、薬の影響などを除外する必要があります。
リンゴ酢や塩酸サプリメント、消化酵素などを自己判断で使うと、症状を悪化させることもあります。
胃腸の症状が続く場合には、まず医療機関で評価を受けてください。
SIBOやカンジダを、アトピーの決まった原因にしない
食後にお腹が張る。
ガスが多い。
便秘や下痢を繰り返す。
このような症状に対して、小腸内細菌異常増殖、いわゆるSIBOが疑われることがあります。
また、カンジダ菌がアトピー性皮膚炎の原因だと説明されることもあります。
しかし、腹部膨満があるだけでSIBOと診断することはできません。
便にカンジダが見つかっただけで、それが全身症状やアトピー性皮膚炎の原因だと証明されたわけでもありません。
抗菌ハーブ、抗真菌薬、極端な低FODMAP食、糖質制限などを長期間続けると、食事の多様性が低下し、栄養不足や便通悪化につながる可能性があります。
必要な検査や診断を受けず、「悪い菌を殺す」ことばかりに集中しないでください。
腸内細菌は、善玉と悪玉に単純に分けられるものではありません。
腸を整える基本は、特別なサプリメントからではありません
腸を整えるというと、高価なプロバイオティクスや腸内細菌検査を思い浮かべるかもしれません。
しかし、まず確認したいのは、もっと基本的なことです。
食事量は足りているか。
毎食または一日の中で、たんぱく質を取れているか。
野菜、果物、豆類、穀物などを、無理のない範囲で食べているか。
水分が不足していないか。
加工食品や菓子類だけで食事を済ませていないか。
夜遅くに大量に食べていないか。
便意を毎日我慢していないか。
身体をまったく動かさない生活になっていないか。
睡眠不足が続いていないか。
こうした土台が崩れている状態で、サプリメントだけを追加しても、十分な変化が得られないことがあります。
食事は、完璧である必要はありません。
アトピーに良いとされる食品だけを集めるより、極端に偏らず、必要なエネルギーと栄養を安定して取ることが大切です。
食事記録は、犯人探しではなく全体を見るために使う
食事と皮膚の関係が気になる場合には、簡単な記録が役立ちます。
食べた食品だけでなく、
・食事をした時刻
・食事量
・胃もたれや腹部膨満
・便の状態
・睡眠
・月経周期
・花粉や発汗
・外用薬の使用
・皮膚の赤みやかゆみ
を合わせて記録します。
食事だけを記録すると、皮膚が悪化した日に食べたものが、すべて疑わしく見えてしまいます。
しかし、実際には寝不足、月経、仕事のストレス、外用薬の減量などが重なっていることがあります。
記録は、食べてはいけないものを増やすためではありません。
どの条件が繰り返し重なっているのかを、冷静に見るためのものです。
皮膚が悪い時期ほど、食べられる食事を守る
皮膚炎が強いと、買い物や調理が難しくなります。
夜に眠れず、朝は起きられない。
手が荒れて、包丁や水仕事がつらい。
顔の湿疹が気になり、外へ出たくない。
その結果、食事を抜いたり、菓子パンやお菓子だけで済ませたりすることがあります。
その一方で、脱ステのために完璧な無添加食を作らなければならないと自分を追い詰める人もいます。
しかし、体力が落ちている時期に必要なのは、完璧な食事ではありません。
無理なく食べられ、必要なエネルギーとたんぱく質を取れることです。
調理済みの食品や冷凍食品を利用しても構いません。
すべてを手作りにできないからアトピーが治らない、ということはありません。
食事療法が、新たな負担や罪悪感にならないようにしてください。
腸を整えることと、皮膚科治療は対立しません
腸を整えるなら、薬を使ってはいけない。
ステロイドを使うと腸の改善が無駄になる。
そのように考える必要はありません。
皮膚の炎症が強く、夜も眠れない状態では、食事や便通を整える余裕もなくなります。
必要な治療で皮膚炎を落ち着かせ、睡眠と食事を確保することは、胃腸を立て直すためにも重要です。
反対に、皮膚科の薬を使っているから、便秘、下痢、腹部膨満、食欲低下を放置してよいわけでもありません。
皮膚の炎症は皮膚科で適切に管理する。
胃腸症状が強ければ、消化器内科などで評価する。
そのうえで、食事、睡眠、生活リズムを整える。
これらは同時に行うことができます。
腸を整える目的を間違えない
神戸市北区のもみの木鍼灸整骨院では、アトピー性皮膚炎を腸だけの病気とは考えていません。
腸内細菌検査によってアトピー性皮膚炎の原因を断定したり、特定の食品やサプリメントで治ると説明したりすることもありません。
ステロイドの中止や減量は、皮膚科医や処方医へ相談していただきます。
そのうえで、機能性医学や鍼灸の視点から、
便秘や下痢が続いていないか。
食後の膨満感や胃もたれがないか。
食事量が不足していないか。
極端な除去食になっていないか。
睡眠不足やストレスで胃腸が乱れていないか。
皮膚をつくるために必要な栄養を取れているか。
といった背景を整理します。
三田市や西宮市周辺から来院される方の中にも、
「アトピーに悪いと言われる食品を全部やめ、何を食べればよいか分からなくなった」
「腸活のサプリメントを何種類も飲んでいるのに、お腹の張りが強くなった」
「便秘は昔からなので、皮膚とは別のことだと思っていた」
という方がいます。
腸を整える目的は、便からアトピーの犯人を見つけることではありません。
食べられる。
消化できる。
必要な栄養を吸収できる。
無理なく排便できる。
そして、皮膚と身体が回復するための材料を安定して届けられる。
その状態をつくることです。
腸を整えれば、必ず脱ステできるとは言えません。
しかし、便秘、下痢、腹部膨満、栄養不足、極端な除去食を放置したまま、皮膚だけを立て直そうとすることにも無理があります。
腸を万能な答えにしない。
それでも、腸を無視しない。
皮膚と腸を切り離さず、同時に現実的な方法で整えていく。
それが、「腸を整えずに脱ステは語れない」という言葉の本当の意味です。
次回は、「血糖と栄養不足を見逃すな」をテーマに、甘いものへの強い欲求、食後の眠気、夕方の疲労、食事を抜く習慣、たんぱく質、鉄、亜鉛、ビタミンDなどについてお伝えします。
参考文献
Gut Dysbiosis and Adult Atopic Dermatitis: A Systematic Review
Unraveling the gut-skin axis in atopic dermatitis
Mechanism of the gut-skin axis in atopic dermatitis and psoriasis: A review
Dietary Elimination for the Treatment of Atopic Dermatitis: A Systematic Review and Meta-Analysis
Japanese guidelines for atopic dermatitis(ADGL)2024: Executive summary
English version of clinical practice guidelines for the management of atopic dermatitis 2024
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